エネルギー法について

ここでは、レンズダンパーを付けた建物の設計法として「エネルギー法」をご紹介します。

エネルギー法とは?

建築基準法では、「限界耐力と同等以上の構造計算」に位置づけられています。

エネルギー法

エネルギー法の特徴は、エネルギー吸収量を用いて、地震に対する建物の「保有性能」と「必要性能」を評価する点にあります。 下図のように、繰り返しの地震力を考慮し、「建物が吸収できるエネルギー量」が「地震時に建物に作用するエネルギー量」以下であることを確認します。
エネルギー法は、レンズダンパーなどの「履歴型鋼材ダンパー」を付けた建物の設計にも適用でき、地震に対するダンパーのエネルギー吸収効果を評価することができます。 また、応答解析を行うことなく、地震による最大層間変位を算出することもできます。

保有水平耐力計算

一方、保有水平耐力計算では、下図のように地震力に対して、建物の「保有水平耐力」が「必要保有水平耐力」以下であることを確認します

レンズダンパーを付けた建物の構造計算法

エネルギー法

  • レンズダンパーは「構造部材」として扱うことができます。
  • 「許容応力度等設計」「保有耐力設計」で設計をした場合と同じく、大臣認定は不要で、通常の確認申請・適合性判定のみが必要となります。

その他の設計法

概略設計フロー

  • 現在広く普及している設計法であり、市販の構造設計プログラムで概ね対応できます。
  • レンズダンパーは「非構造部材」として扱います。
  • レンズダンパーの効果を確認するためには別途、応答解析が必要となります。

「地震応答解析」

  • レンズダンパーは「構造部材」として扱うことができます。
  • 確認申請・適合性判定に加えて、大臣認定 も必要となります。

各構造計算法のさらに詳しい説明

新耐震設計法(1981年)

旧耐震基準(1981年以前)では、想定する中地震に対して耐えるように設計するという考え方に基づいて作られた設計法である。一方、新耐震基準では、2段階の地震を指定しており、中地震に対して建物部材が損傷しないこと、そして大地震に対して倒壊させないという考え方である。また、建物の平面的・立面的に剛性等のバランスの配慮が求められる。さらに2段階目は、建物の部材を積極的に壊すことで地震のエネルギーを吸収し、経済的な設計が行えるようになっている。旧基準とは大きく違った設計法であり、建物の耐震性能レベルを保つために設計の考え方や設計式、使う材料等を規定した仕様規定型の設計法である。

限界耐力計算法(2000年)

想定された2つのレベルの地震動から建物を設計する設計法で精度が高いとも言われている。そのレベルは「損傷限界耐力;50年に1度程度発生する地震動を想定」「安全限界耐力;500年に1度程度発生する地震動を想定」とし、建物を等価1質点系モデルに置換し応答スペクトル法の考え方を元に設計を行う。また、この計算は仕様規定の枠に殆ど捕らわれず設計者の考え方を反映させることができる性能規定型の設計法である。ただし、動的解析を初めとする振動理論など幅広い知識を必要とし建築基準法の告示などで示されている関係式の理解等が求められ、難しい設計法といえる。

エネルギー法(2005年)

エネルギーの釣合いに基づく耐震計算法の構造計算は、その名の通り地震をエネルギーとして捉え、建物に入力される地震エネルギーより建物が吸収できるエネルギーが勝っているように設計する設計法である。また、エネルギー法は2段階の地震レベル稀地震(中規模地震)と極稀地震(大地震)が想定されている。さらに鋼材の履歴型ダンパーを主部材として使用することが認められており、稀地震でダンパーの降伏を許し、早い段階から地震エネルギーを吸収できるように考えられている。 上記の2つの設計法は、旧基準の設計法に対して部材の降伏を認めた設計であり経済的な設計も可能となる設計法であるが、それが許されるのが大地震時のみであった。しかし、エネルギー法は中規模の地震で部材の降伏を許す設計法として画期的といえる。つまり、制震用ダンパーを建物に組み込み付加部材ではなく主部材として使用し動的解析を行わず静的設計で設計が可能となる。

エネルギー法 設計支援ツール

レンズダンパー推進協議会では、LSPDを付けた建物で 試設計を実施し、日本ERI (株) で「レンズ型せん断パネルダンパーを用いたS造事務所ビルのエネルギー法による試設計」について 構造性能評価を取得しました。(ERI-K13017)

構造性能評価書

試設計の内容を基に作成した「設計支援ツール」と 一般的な「構造設計ソフト」を併用することで、 エネルギー法による構造計算を行うことができます。

「設計支援ツール」スタート画面

概略設計フロー

「設計支援ツール」は、Microosft Excel で作成しています。
建物の階数に応じて、表やグラフが自動作成されます。
プルダウンリストからLSPDの「type」「使用鋼材」を選択し、増分解析で取得した各階の「Q-δ関係」を入力し、表の空欄に必要事項を入力し、マクロ実行用のボタンを押すことで、一連の検討ができます。

type、使用鋼材の選択

Q-δ関係の入力

計算結果例

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